「メールを送っても返事が来ない」「電話番号が使われていない」「会社のサイトがなくなっている」——ホームページを作ってくれた会社と連絡が取れなくなる状況は、廃業・代表者の病気・事業の縮小など、さまざまな理由で起こります。悪意がなくても起こります。名義・所有の基本はサイトの所有権も参照してください。
この記事は、そういう状態になったとき、サイトが動いているうちに何をすべきかの手順書です。順番が重要なので、上から実行してください。
最初に理解しておくこと
ホームページは「ドメイン」「サーバー」「サイトのデータ」の3つで成り立っています。
- ドメイン:`example.com` というアドレスの使用権
- サーバー:データを置いて公開し続ける場所
- データ:文章・画像・プログラム
このうち最も失うと痛いのがドメインです。名刺・チラシ・看板・封筒に印刷したアドレスがすべて無効になり、検索エンジンが積み上げてきた評価も失われます。サーバーとデータは、最悪の場合は作り直せます。ドメインは、他人に取られたら戻ってきません。
そして最大の問題は、ドメインが制作会社の名義になっていることが非常に多いという点です。まずはそこを確認します。
手順1:WHOISでドメインの名義を確認する(5分)
WHOISは、ドメインの登録情報を誰でも調べられる仕組みです。
- 1検索エンジンで「WHOIS 検索」と調べ、検索サービスを開く
- 2自分のドメイン(`example.com` の部分)を入力する
| 項目 | 意味 | 見るポイント |
|---|---|---|
| Registrant(登録者) | ドメインの持ち主 | 自分(自社)か、制作会社か |
| Expiration Date(有効期限) | いつまで有効か | この日を過ぎると失効します |
| Registrar(登録事業者) | 管理会社 | お名前.com、ムームードメインなど |
*見るべき項目は3つです。*
有効期限は、今すぐスマートフォンのカレンダーに入れてください。 これが最も緊急度の高い情報です。期限が切れると、ドメインは第三者が取得できる状態になります。
なお、`.jp` ドメインや、公開代理サービス(プライバシー保護)が設定されている場合は、登録者名が制作会社や代行会社の名前で表示されることがあります。その場合は次の手順で確認します。
手順2:引き落としの記録を確認する(10分)
通帳やクレジットカードの明細を、過去1年分さかのぼってください。
- 「お名前.com」「GMO」などからの引き落としがある → ドメイン代を自分で払っている。自社名義の可能性が高い
- 「エックスサーバー」「さくらインターネット」などからの引き落としがある → サーバー代を自分で払っている。自社名義の可能性が高い
- 制作会社にまとめて月額を払っているだけ → すべて制作会社の名義になっている可能性が高い
自分のカードから直接支払われていた場合、その会社に「ログイン情報が分からないので再発行してほしい」と問い合わせれば、本人確認のうえ対応してもらえます。この場合は、ほぼ解決します。
手順3:手元の資料を探す
- 契約書、申込書
- 制作当時のメールのやり取り(「ドメイン取得しました」といった連絡)
- サーバーやドメイン会社からの自動送信メール(更新通知など)
- 管理画面のIDとパスワードのメモ
「ドメイン更新のお知らせ」というメールが自分宛てに届いていれば、自社名義です。 迷惑メールフォルダも確認してください。
手順4:制作会社の状況を調べる
- 会社名で検索:廃業の告知、事業譲渡の案内が見つかることがあります
- 法人番号公表サイトで検索:国税庁のサイトで、法人の登記状況を確認できます
- 代表者名でSNSを検索:個人事業や少人数の会社の場合、代表者本人と連絡が取れることがあります
- 登記簿を取得する:法務局で取得でき、代表者の住所が分かる場合があります
連絡が取れれば、名義変更に応じてもらえる可能性があります。廃業していても、代表者個人は存在します。
手順5:サイトの中身を保存する
連絡が取れるかどうかにかかわらず、サイトが表示されているうちに中身を保存してください。 ある日突然消えます。
- 全ページをブラウザで開き、印刷機能でPDFとして保存する
- 画像を右クリックで保存する(施工事例の写真などは、元データがもう手元にないことがあります)
- 文章をコピーしてテキストファイルにまとめる
この作業は今日できます。 ここまでやっておけば、最悪サイトを作り直すことになっても、中身はゼロからにはなりません。Googleビジネスプロフィールとの関係はGBPとホームページも参考になります。
状況別の対処
ケースA:自社名義だった
ラッキーです。 ドメイン会社・サーバー会社に本人確認のうえログイン情報を再発行してもらえば、管理権限を取り戻せます。あとは新しい制作先に引き継げます。
ケースB:制作会社名義だが、連絡は取れる
名義変更(譲渡)を正式に依頼してください。 承諾を得られれば、管理画面での情報変更や、ドメイン移管のための認証コード(AuthCode)の発行に進みます。
このとき、名義変更に費用を請求されることがあります。事務手数料の範囲なら妥当ですが、数十万円の「買い取り費用」を求められるケースも報告されています。 金額に納得できない場合は、契約書の記載を確認し、必要なら専門家に相談してください。
なお、リース契約の場合は、契約の構造上そもそも移管に応じられないことがあります。初期費用0円型の注意は別記事もご覧ください。
ケースC:制作会社名義で、連絡が取れない
最も厳しいケースです。ドメインの有効期限が切れる前に動く必要がありますが、名義人でない以上、こちらから更新することはできません。現実的な選択肢は2つです。
- 1有効期限の直後を狙って、同じドメインを再取得する:失効後、一定期間を経て誰でも取得できる状態になります。ただし確実ではなく、第三者に先に取られるリスクがあります
- 2新しいドメインを取得して、作り直す
2の場合、アドレスが変わります。名刺・チラシ・看板の刷り直し、取引先への告知、検索評価のやり直しが発生します。痛いですが、宙ぶらりんのまま放置するよりはるかにマシです。 保存しておいた文章と写真があれば、作り直しの負担は大きく減ります。
ケースD:メールアドレスも同じドメインを使っている
`info@example.com` のように、ドメインを使ったメールアドレスを使っている場合、ドメインを失うとメールも受信できなくなります。 これはサイトが消えること以上に事業への影響が大きい場合があります。取引先からの連絡が届かなくなるためです。優先して対処してください。
費用の目安は、30秒でできる見積もりシミュレーターで確かめられます。
今後同じことを起こさないために
新しい制作先を選ぶとき、次の3つを必ず確認してください。
1. ドメインは自分名義で取得する
これに尽きます。 自分名義であれば、制作会社が何社変わっても、廃業しても、アドレスは自分のものです。
取得手続き自体は難しくありません。年間1,000〜5,000円程度で、クレジットカードがあれば10分ほどで完了します。「自分で取るのは不安」という場合でも、取得作業を手伝ってもらいつつ、名義と支払いは自分にすることは可能です。
2. ログイン情報を自分でも持っておく
ドメイン、サーバー、CMSの管理画面。IDとパスワードを紙かパスワード管理ツールに控えておいてください。「制作会社が管理しているから大丈夫」は、その会社がある間だけ成り立つ話です。
3. 契約終了時にどうなるかを、契約前に聞く
- サイトはそのまま残るのか、公開停止になるのか
- データやソースコードは渡してもらえるのか
- 事業終了時の取り決めが契約書にあるか
月額型のサービスでは、解約時に公開停止となる形式が一般的です。それ自体は仕組み上そうなるだけで問題ではありません。問題なのは、それを説明せずに契約させることのほうです。 契約書や利用規約に事業終了時の取り決めが書かれているかを見れば、その相手がどこまで考えているかが分かります。
まずやること
長く書きましたが、今日やることは2つだけです。
- 1WHOISで有効期限を確認し、カレンダーに入れる
- 2サイトの全ページをPDFで保存する
この2つが済んでいれば、最悪の事態は避けられます。残りは順番にやれば間に合います。
困ったときのご相談先
まる製作所では、既存サイトをお持ちの方向けに無料のサイト診断を行っています。名義の確認や引き継ぎでお困りの場合も、状況を伺ったうえで、お答えできる範囲でご説明します。
作り直しが必要になった場合は、手順5で保存した文章と写真をもとに、契約前にトップページのデザイン案を無料でお作りします(ヒアリング完了後、最短翌営業日・遅くとも5営業日以内)。新しいサイトのドメインは、お客さまご自身の名義で取得いただきます。同じことが二度と起きない形で作り直すのが前提です。
よくある質問
- Q. まず何をすればいいですか?
- A. WHOISでドメインの有効期限を確認してカレンダーに入れ、表示されているうちに全ページをPDFで保存してください。この2つが済めば最悪の事態は避けやすくなります。
- Q. ドメインが制作会社名義だとどうなりますか?
- A. 連絡が取れれば名義変更を依頼できます。連絡が取れない場合、期限前の更新は難しく、失効後の再取得か新しいドメインでの作り直しが現実的な選択肢になります。
- Q. 引き落とし記録で何が分かりますか?
- A. お名前.comやサーバー会社からの直接引き落としがあれば自社名義の可能性が高いです。制作会社への月額だけなら、制作会社名義の可能性が高いです。
- Q. 今後どう防げますか?
- A. ドメインを自分名義で取得し、ログイン情報を自分でも控え、契約終了時の扱いを契約前に確認してください。解約で公開停止になること自体より、説明の有無が重要です。
FREE DESIGN PREVIEW
名義の確認から、作り直しまでご相談いただけます
まずは無料サイト診断で現状を確認できます。作り直しが必要な場合は、保存した文章と写真をもとに、契約前にデザイン案を無料でお作りします。
契約前に、トップページのデザイン案(PC・スマホ)を無料でお見せします。ご覧になってからお断りいただいても費用はかかりません。
